ATS LSDシステム トラブルシューティング

LSDのトラブルシューティングマニュアル

※これはATSのLSDシリーズに適する内容であり、他社製LSDには当てはまりません。

▼メタル/Metal LSD 症状一覧

旋回時にメタルLSDが騒音を発生する

装着直後にググググッという音が発生する

  • 原因:慣らし不足
  • 対策:慣らし運転完了時のオイル交換をして様子を見る。

装着直後にバッキンバッキンという音が発生する

  • 原因:慣らし不足・オイル不適合
  • 対策:しだいに騒音が小さくなれば慣らし運転を継続する。
    騒音が変化しない、どんどん大きくなるようであれば慣らし運転の方法を見直す。直進が多いと慣らしが進まないので、例えば、8の字旋回を30回する。10〜20秒おきに右左折する市街地走行をするなどを実施して300kmの慣らし運転を完了する。

慣らし運転中に発生

  • 原因:慣らし不足
  • 対策:しだいに騒音が小さくなれば慣らし運転を継続する。

慣らし運転直後にオイル交換しても発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:騒音が小さくなる傾向でなければATSオイルに交換する。

ATSオイルでも慣らし運転後に騒音発生

  • 原因:騒音の大きさと頻度で変化する
  • 対策:小回り、急坂、高イニシャルトルクなどで発生することあり。

1000km以上走行しても発生

  • 原因:オイル不適合、慣らし運転方法の不適合。
  • 対策:メタルLSDは、走行状態やオイル特性で発生することあり。
    慣らし運転はゆっくりとできるだけ多く差動を繰り返しながら300km走行するのがベストです。

オーバーホール直後に発生

  • 原因:プレート消耗、高イニシャルトルク
  • 対策:クラッチプレートを新品交換すると慣らし運転が必要です。
    古いプレートを使い続けると慣らし運転しても騒音が出ることがあります。

他社銘柄オイルに交換した直後に発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:ATSオイルに交換。騒音が収まるまで何回か交換要す。

オイル温度が上がると発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:鉱物系オイルから耐熱性のある化学合成オイルへ交換。

高速やサーキットの連続走行後に発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:鉱物系オイルから耐熱性のある化学合成オイルへ交換。

後進時にだけ発生

  • 原因:カムの逆組み、路面の影響
  • 対策:前進と後退の路面や傾斜が異なる。
    路面を登る時に騒音が出やすいです。

それまで無音だったのに突然発生

  • 原因:LSD、ドライブシャフトの破損
  • 対策:音や外観で判別するのが難しいので、ジョイントのブーツを開けて破損の有無を確認する。

サイレントLSDが騒音を発生(45度カムの場合

  • 原因:車両装着前にLSDを分解組立した
  • 対策:組立ミスの可能性あり。サラバネやワッシャの噛みこみ。
  • 原因:オイル不適合
  • 対策:他社製オイルからATS鉱物系オイル85W90へ変更。
  • 原因:車両装着直後である
  • 対策:慣らし運転を300km実施する。徐々に騒音が小さくなればOK。
  • 原因:4WDである
  • 対策:前後LSDの同時装着をしない。
  • 原因:4WD前後の差動制限が強すぎる
  • 対策:差動制限を最弱あるいはフリーにする。

直進時にメタルLSDが騒音を発生する

 

直進時にLSDは騒音を発生しない

  • 原因:旋回直後にデフロックが解除されない
  • 対策:アクセルを戻す、クラッチを切る、小さいカム角に変更する。

ファイナルギヤの唸り音

  • 原因:歯面打痕、バックラッシュ過不足
  • 対策:高低速、加速、減速で音を確認して原因を調べる。

ミッションギヤの騒音

  • 原因:3,4速で聞こえてくる
  • 対策:この騒音とLSDは無関係

ドライブシャフトの騒音

  • 原因:バキバキ音と区別できない
  • 対策:等速ジョイント部を調べる

アンダーステアが強い

コーナーへ進入する時

  • 原因:イニシャルトルクが高すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを10kgmまで下げる。
  • 原因:2WAYカムを使っている
  • 対策:1.5WAYか1WAYカムに変える。
  • 原因:ロックを強めるオイルを使っている
  • 対策:ロックを強める添加剤が入っていないオイルに交換する。
  • 原因:オーバースピードである
  • 対策:進入速度を下げる。

コーナーから脱出する時

  • 原因:LSDのデフロックが弱い
  • 対策:LSDのオーバーホール、カム角、イニシャルトルクを変更。

オーバーステアが強い

コーナーへ進入する時

  • 原因:イニシャルトルクが低すぎる
  • 対策:4WDの場合はリアLSDのロックが強すぎるので弱める。

コーナーから脱出する時

  • 原因:LSDによるパワーオーバー発生
  • 対策:カム角を小さくする。走行ラインを改善する。

駆動が抜ける

直進する時

  • 原因:LSDのデフロックが弱い
  • 対策:イニシャルトルクを上げる、カム角を大きくする。

登りコーナー出口

  • 原因:登り勾配で内輪差により大きなトルクが必要となる。
  • 対策:ラップタイムを考慮しながら徐々にデフロックを強める。
    早めに加速できる走行ラインに変える。

コーナーから脱出する時

  • 原因:イニシャルトルクが低すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを上げる。
  • 原因:現行クラッチプレートAの摩擦が少ない
  • 対策:Φ87系LSDの場合は、クラッチプレートAを旧タイプに変更する。

デフロックが速すぎる

アクセル操作に対してLSDの反応が鋭すぎる

  • 原因:イニシャルトルクが高すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを下げる。カム角を小さくする。

デフロックが遅すぎる

アクセル操作に対してLSDの反応が鈍い

  • 原因:イニシャルトルクが低すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを上げる、カム角を大きくする。

旋回が不安定

旋回中に加速すると姿勢が乱れる

  • 原因:LSDのデフロックが強い
  • 対策:イニシャルトルク、カム角を小さくする。

左右旋回で効きが違う

高低速でLSDの左右旋回での効きに違いがある

  • 原因:明確に体感できる
  • 対策:構造上LSDは無関係。荷重分布、タイヤ、路面のわずかな傾斜や凹凸が影響。

ウエット路面が不安

旋回中にスピンしやすい

  • 原因:コーナリング中に発生する遠心力によって内輪のグリップがなくなる
  • 対策:空転を抑制できるロック反応を得るための最小限のイニシャルトルクを確保する。

オイル温度が高い

140℃を超えてしまう

  • 原因:過負荷、冷却風が当たらない
  • 対策:クーリング走行、オイルクーラー装着、エアロ改善。

オイルが吹き出る

デフキャリアから吹き出し

  • 原因:過負荷、冷却風が当たらない
  • 対策:デフキャリアに吹き出し防止の改造、オイルクーラー装着。

LSDのボスからオイルが漏れる

ドライブシャフト取付け部の付近

  • 原因:オイルシール破損
  • 対策:オイルシール交換、サイドシャフトの傷の有無確認。

FF車のギヤチェンジが固い

FF車で冬にシフトチェンジしにくい

  • 原因:オイルが温まるまでシフト困難
  • 対策:ウォーミングアップする。

前進しなくなった

LSDからの駆動の出力がある

  • 原因:等速ジョイントが破損
  • 対策:ドライブシャフト交換

LSDからの出力が無い。プロペラシャフトは回転している

  • 原因:LSDかファイナルギヤが破損
  • 対策:破損部品修理・交換

LSDからの出力が無い。プロペラシャフトは回転しない

  • 原因:ギヤボックスかトランスファが破損
  • 対策:破損部品修理・交換

LSDのギヤ、ケースなどが破損

ギヤの歯が折れる、ケースが割れる

  • 原因:強度を超える負荷が作用した
  • 対策:破損部品修理・交換

ファイナルギヤ固定ボルトが緩む

ファイナルギヤから異音が発生

  • 原因:締付トルク不足、過負荷走行、リングギヤ固定ボルトの強度不足
  • 対策:トルクレンチの精度管理を実施・強度範囲内の負荷で走行・ボルトの新品交換

DC5のLSDギヤが早期に破損

短時間でギヤが粉砕する

  • 原因:縁石通過着地時の衝撃で破壊
  • 対策:イニシャルトルクを上げて空転を防止、走行ラインを変える。

EVO4~10フロントLSDが破損

デフケース、トランスファケースが破損する

  • 原因1:クラッチを切らずサイドブレーキ使用
  • 対策1:クラッチを確実に切ってからサイドブレーキを使う。
  • 原因2:純正のECUのプログラムを変更する、あるいは純正のECUを社外品に変更することにより、サイドブレーキ信号を利用してACDのロックを解除する本来の機能を消失させた。
  • 対策2:サイドブレーキを操作した瞬間にACDのロックを解除するようにECUをセットする。あるいは、クラッチを確実に切ってからサイドブレーキを使う。

外爪がデフケース溝に食込む

デフケースの溝に外爪の食込み跡がある

  • 原因:ロックを強めるオイルを使っている
  • 対策:オイルではなくイニシャルトルクアップでロックを強める

内爪が切断される

多数の爪が根本から無くなっている

  • 原因:ロックを強めるオイルを使っている
  • 対策:ATSオイルに交換。

▼カーボン・ハイブリッド/Carbon・Hybrid LSD 症状一覧

旋回時にカーボン・ハイブリッドLSDが騒音を発生する

装着直後にググググッという音が発生する

  • 原因:慣らし不足
  • 対策:慣らし運転完了時のオイル交換をして様子を見る。

装着直後にバッキンバッキンという音が発生する

  • 原因1:慣らし不足
  • 対策:イニシャルトルク50〜70kgmの場合、新品時に異音が出ます。
    強いアンダーステアも発生しますので、これらが解消するまで8の字旋回30回などで慣らし運転してください。
    これと同等の慣らし運転をサーキット走行でするには、約20周の走行が必要です。
    慣らし運転の方法URL https://youtu.be/P1nUsuY3eLY
  • 原因2:高いイニシャルトルク
  • 対策:50〜70kgmのイニシャルトルクの場合、冷間時に2,3時間停止して再発進したときに異音が発生しますが、5〜20m移動させると異音が消えます。慣らし運転が完了していれば走行性能に支障はありません。

慣らし運転中に発生

  • 原因:慣らし不足
  • 対策:しだいに騒音が小さくなれば慣らし運転を継続する。

慣らし運転直後にオイル交換しても発生

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

ATSオイルでも慣らし運転後に騒音発生

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

1000km以上走行しても発生

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

オーバーホール直後に発生

  • 原因:慣らし不足
  • 対策:しだいに騒音が小さくなれば慣らし運転を継続する。

他社銘柄オイルに交換した直後に発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:ATSオイルを2,3回オイル交換する。

オイル温度が上がると発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:140℃以上で走行している場合は、140℃以内で走行する。
    過負荷走行した後でオイル交換していない場合はオイルを交換する。
    上の2つの対策で対応できない場合は、ATSの化学合成オイルに交換する。

高速やサーキットの連続走行後に発生

  • 原因:オイル不適合
  • 対策:140℃以上で走行している場合は、140℃以内で走行する。
    過負荷走行した後でオイル交換していない場合はオイルを交換する。
    上の2つの対策で対応できない場合は、ATSの化学合成オイルに交換する。

後進時にだけ発生

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

それまで無音だったのに突然発生

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

直進時にカーボン・ハイブリッドLSDが騒音を発生する

 

直進時にLSDは騒音を発生しない

  • 原因:旋回直後にデフロックが解除されない
  • 対策:アクセルを戻す、クラッチを切る、小さいカム角に変更する。

ファイナルギヤの唸り音

  • 原因:歯面打痕、バックラッシュ過不足
  • 対策:高低速、加速、減速で音を確認して原因を調べる。

ミッションギヤの騒音

  • 原因:3,4速で聞こえてくる
  • 対策:この騒音とLSDは無関係

ドライブシャフトの騒音

  • 原因:バキバキ音と区別できない
  • 対策:等速ジョイント部を調べる

デフロックが弱い

デフロックしているという感じがしない

  • 原因:カーボンLSDの特性を理解していない。
  • 対策:メタルLSDよりもカーボンLSDのロック力は小さいので体感しにくい。
  • 原因:イニシャルトルクが低すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを30~70kgmに上げる。
  • 原因:カムの角度が小さすぎる
  • 対策:カムの角度を55~60度に変える。
  • 原因:メタルLSDと比較して評価している
  • 対策:メタルLSDと比較せず、タイムアップするか否かで評価する。

タイムアップしない

色々と工夫してみてもタイムアップしない

  • 原因:メタルLSDと同じ走り方である
    メタルLSDと同じ走行ライン、同じ加速タイミングを使っていてはカーボンLSDのメリットを引き出せません。
    下記の対策を意識してフリー走行などで安全な範囲で積極的にトライを重ねてカーボンLSDの走行術を知ってください。
  • 対策①:加速しながらハンドル操作できるという特徴を駆使する
  • 対策②:コーナーで必要最小限の差動を許すのがカーボンLSDの大きな特徴です。
    だからアンダーステアが出ない。
    また、コーナーの奥で姿勢を乱さず加速に移れるのがカーボンLSDの特徴です。
    これらの特徴を少しずつ実戦で体感して次のレースに生かしてください。
  • 対策③:雨や雪路面でコントロール性が高くメタルLSDよりもかなり速い。
  • 原因:サスペンションが固すぎる
  • 対策:リバンプストロークを確保し接地性の良いサスペンションにする。

アンダーステアが強い

コーナーへ進入する時

  • 原因:オーバースピード、LSD以外の原因
  • 対策:LSD以外を調整。走行ラインを見直す。ラップタイムで評価する。

コーナーから脱出する時

  • 原因:LSDのデフロックが弱い
  • 対策:なぜデフロックが弱いと判断するのかその具体な根拠を基に対策しないと、アンダーが改善しても他のコーナーで遅くなってラップタイムが落ちることになる。フィーリングではなく、ラップタイム重視で対策を検討する。
  • 原因:ウエット路面でデフロックが強すぎる
  • 対策:カーボンLSD搭載車は、タイヤのグリップに応じた加速をすればメタルLSDよりもかなり速く走ることができる。ドライ路面で適正なイニシャルトルクであればその値をウェット路面で低下させる必要はない。低下した効果も無い。
  • 原因:駆動が抜ける
  • 対策:サスペンションのリバンプ側のストロークを最小限確保する。
    イニシャルトルクを30〜70kgmにする。
    脱出の加速ポイントと走行ラインの変更を試みる。

オーバーステアが強い

コーナーへ進入する時

コーナーから脱出する時

  • 原因:オーバーステアが発生し加速できない
  • 対策:LSDの駆動側のカム角を26度にして、オーバーステアを防止する。

デフロックが遅すぎる(ドライ路面で)

アクセル操作に対してLSDの反応が鈍い

  • 原因:イニシャルトルクが低すぎる
  • 対策:イニシャルトルクを30〜70kgmに設定する。

旋回が不安定

旋回中に加速すると姿勢が乱れる

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

ウエット路面が不安

スピンしやすい

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

左右旋回で効きが違う

高低速でLSDの左右旋回での効きに違いがある

  • 原因:LSD以外の原因
  • 対策:専門ショップで点検・相談する。

オイル温度が高い

140℃を超えてしまう

  • 原因:過負荷、冷却風が当たらない
  • 対策:油温計をつけて温度を監視し140℃以上でクーリング走行する。

オイルが吹き出る

デフキャリアから吹き出し

  • 原因:過負荷、冷却風が当たらない
  • 対策:デフキャリアに吹き出し防止の改造、オイルクーラー装着。
    デフキャリアに走行風を導き冷却を高める。

LSDのボスからオイルが漏れる

ドライブシャフト取付け部の付近

  • 原因:オイルシール破損
  • 対策:オイルシール交換、サイドシャフトの傷の有無確認。

FF車のギヤチェンジが固い

FF車で冬にシフトチェンジしにくい

  • 原因:オイルが温まるまでシフト困難
  • 対策:ウォーミングアップするか、寒冷地向けオイルに交換する。

オイルが黒くなる。

オイル交換2,3回してもオイルが黒い

  • 原因1:カーボンチップの初期摩耗
  • 対策:しだいに透明度が高くなっていれば問題ない。
  • 原因2:高温下でカーボンチップ剥離の可能性
  • 対策:ファイナルギヤのプリロード、バックラッシュ、ギヤ消耗を点検。
    LSDをATSで無料点検。カーボンチップ剥離があればクラッチプレートを新品交換してイニシャルトルク調整。
    油温計をつけて140℃以下で走行する。オイルが140℃を超えたらクーリング走行。オイルクーラー装備。デフに走行風を導き冷却。
  • 原因3:それまで問題なかったが、突然オイルが黒く濁った場合
  • 対策:原因2とその対策を参照してください。

よく壊れるという噂がある

  • 原因:2005,2006年に摩擦板の早期摩耗が発生した。
  •    カーボンLSDは1999年から十分なテストをした上で、2001年に発売していましたが、発売後のカーボン素材の製造プロセスの変更の影響によって、2005年に鉄粉が異常発生しLSDオイルが黒く濁るという現象が散見されました。2005年後半から原因の究明に着手し、2006年11月にスチールプレート表面を化学処理で硬化させると同時にオイル溝を追加するという恒久的な対策を実施して再発防止に成功しました。また、2008年には65,000kmの24時間連続走行テストを行い十分に耐久性があることを確認しました(下記のURL参照)。
    https://youtu.be/G57LcC5sDJs

前進しなくなった

LSDからの駆動の出力がある

  • 原因:等速ジョイントが破損
  • 対策:ドライブシャフト交換

LSDからの出力が無い。プロペラシャフトは回転している

  • 原因:LSDかファイナルギヤが破損
  • 対策:破損部品修理・交換

LSDからの出力が無い。プロペラシャフトは回転しない

  • 原因:ギヤボックスかトランスファが破損
  • 対策:破損部品修理・交換

LSDのギヤ、ケースなどが破損

ギヤの歯が折れる、ケースが割れる

  • 原因:強度を超える負荷が作用した
  • 対策:破損部品修理・交換

ファイナルギヤ固定ボルトが緩む

ファイナルギヤから異音が発生

  • 原因:ボルトの再使用による強度の低下、締付トルク不足、過負荷走行
  • 対策:新品ボルトの使用・トルクレンチの精度管理を実施・強度範囲内の負荷で走行する。

DC5のLSDギヤが早期に破損

短時間でギヤが粉砕する

  • 原因:縁石通過着地時の衝撃で破壊
  • 対策①:高回転数で空転すると着地時に急減速して強い衝撃を受ける。
  • 対策②:空転を防止するためイニシャルトルクを30~50kgm以上にセットする。
  • 対策③:標準で1.5Lのオイルを2.1L給油しLSD周辺のオイル切れを防止する。
  • 対策④:イニシャルトルクを30~50kgm以上にして空転を防止する。

EVO4~10フロントLSDが破損

デフケース、トランスファケースが破損する

  • 原因1:クラッチを切らずサイドブレーキ使用
  • 対策1:クラッチを確実に切ってからサイドブレーキを使う。
  • 原因2:純正のECUのプログラムを変更する、あるいは純正のECUを社外品に変更することにより、サイドブレーキ信号を利用してACDのロックを解除する本来の機能を消失させた。
  • 対策2:サイドブレーキを操作した瞬間にACDのロックを解除するようにECUをセットする。あるいは、クラッチを確実に切ってからサイドブレーキを使う。

外爪がデフケース溝に食込む

デフケースの溝に外爪の食込み跡がある

  • 原因:ロックを強めるオイルを使っている
  • 対策:ATSオイルに交換。

内爪が切断される

多数の爪が根本から無くなっている

  • 原因:ロックを強めるオイルを使っている
  • 対策:ATSオイルに交換。

カーボンチップが剥離

カーボンチップがスチールプレートから剥離

  • 原因:チップの接着剤が熱で破壊
  • 対策①:LSDがType-DDじゃなければ、デフケースにオイル穴を追加する。
  • 対策②:オーバーホールしてハイブリッドHB42タイプに組替える。
  • 対策③:サラバネを増してイニシャルトルクを30~50kgmにセットする。
  • 対策④:油温計をつけて油温が140℃を超えたらクーリング走行する。
  • 対策⑤:オイルクーラーをつける。デフやクーラーに風を誘導する。